専門医が行う根管治療②ラバーダム防湿の有用性 〜宇部市歯医者(歯の神経の治療)

あけましておめでとうございます。

寒い日が続きますね。投稿が久しぶりになりました。

今回は、ラバーダム防湿と隔壁の重要性について書かせて頂きます。

 

近年の根管治療のレベルは、大きく進歩しております。

前回ブログの3DCTだけでなく、デジタルX線写真の精度、歯科用マイクロスコープ、根管長測定器、ニッケルチタンファイルの登場、根管充填のシステムの改良などなど、まだ書き切ることができないほどの治療用器具の登場と開発により、現在の歯科医療は飛躍的にレベルが向上しております。これは、先人の医療従事者の臨床と研究、それに応えてきた患者さん、企業の努力の全てによって、現在私たちはその恩恵を十分に受け、それを治療の度に痛感します。

ただ、これらの機材を使用すれば、根管内の感染を排除でき、完璧な治療ができるかというと、そうではありません。

ラバーダム防湿、隔壁が行われなければ、これらの機材を最大限に引き出すことはできないでしょう。

ラバーダム防湿とは、歯の周りにゴムをかけて、細菌の侵入を防ぐことです。

根管治療やダイレクト修復治療時に、①唾液による細菌汚染や呼気からの水分などを防止し、さらに②薬品や器具の誤嚥、誤飲を防止することもできます。また③術野を限局することで、視野が広がり、よりスポットで見る事が可能になります。

根管治療の成功率を上げるために重要なことは、免疫が働かない根管内の感染を除去することだけでなく、さらなる汚染を起こさせないことがとても重要となります。

つまり、治療中の唾液による細菌感染防止と、次回治療までの仮封時による細菌侵入の管理が大切になります。

 

左上の写真は、歯の周囲、歯の中がとても感染しており、どれだけ健康な組織が残っているのかわからない状態です。

それらを取り除き、コンポジットレジンで隔壁と呼ばれる防波堤を作製していきます。

これを作製することで、

①ラバーダムをしっかりかけることができる。

②治療中に唾液が染み込んでくるのを防止できる

③治療中に歯の中に薬品をプールすることができ、感染の除去に有利になる

④治療と治療の間の期間に仮の蓋をしっかり詰めることができる。

根管治療の専門医に、ラバーダム、マイクロスコープ、CT、ニッケルチタンファイルのうち1つだけしか使えないけれど、どれを使いますか。と聞くと、大半がラバーダムを選択するのではないでしょうか。ラバーダムは根管治療の成功率に多く影響するからです。

ラバーダムは、1860年代にアメリカで考えられたそうです。約160年前のものが、現代でもとても重要視されていることは、とても素晴らしく、驚きですね。

最新の機材によって治療時間の短縮、治療の精度の向上、切削量の低下など、さまざまな恩恵がありますが、約160年続いていくには、それなりの意味があるのではないでしょうか。

今回は、最新の機材も素晴らしいけれど、ラバーダムと隔壁がそれがなければ始まらない。という内容でした。

歯内療法専門医 塙

 

 

 

 

 

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