保育園での歯科講習会を行いました2026.07.04
先日、命信寺保育園と桃山保育園にて職員の方々を対象に、お子さまの歯と口腔機能に関する講演をさせていただきました。今回は講演でお伝えした内容の一部を、当院のブログでもご紹介いたします。
歯磨きの慣らし方は6ヶ月頃から
仕上げ磨きは、お子さまを寝かせた状態で行うことが多く、保護者の方が顔を覗きこみ、口の中を見たり、歯ブラシや指を口の中に入れたりする動作が必要になります。この動作自体に慣れていないと、歯が生え始めてから急に仕上げ磨きを始めても、子供が嫌がってしまうことがあります。
そのため、歯が生え始めた6ヶ月頃から、少しずつこの状況に慣らしていくことをお勧めしています。歯ブラシを使う前段階として、顔を触られること、口の中を見られること、指が入ることに慣れておくことが、その後の仕上げ磨きをスムーズにする助けになります。また、仕上げ磨きは、親と子供のスキンシップの1つなので、楽しい時間になることが大切です。
いやいや歯磨き脱却のポイントは、親が子供の前で歯ブラシをする姿をあえて見せる。また、兄弟への仕上げ磨き(楽しそうに仕上げ磨きしているところを)を見せる。兄弟がいなければ、親同士などで仕上げ磨きをする(楽しそうに)。子供は、親がおこなっていることを真似したいという気持ちを有効活用します。親は洗面台で1人で歯磨きをするのではなく、その姿を子供に見せることで、子供も取り入れやすくなります。また、歯磨きをしないことを怒るのではなく、とにかく褒めてあげることが大事です。
虫歯になりやすい部位を優先的に
歯ブラシを嫌がって動いてしまう子供の場合、すべての歯を均等に磨くことが難しい場面もあります。そのような場合は、虫歯になりやすい部位を優先的に磨くという考え方が有効です。
特に虫歯になりやすいのは、上の前歯と、奥歯(大臼歯)の噛む面です。仕上げ磨きの時間が限られる場合には、まずこれらの部位を集中的に磨くようにすると効率的です。
また、歯磨きを継続する工夫として、歯磨きに関するアプリや歌、動画などを活用する方法もご紹介しました。子供が歯磨きの時間を嫌がらずに過ごせるよう、無理なく取り入れていただければと思います。
歯ブラシの選び方とフッ素の活用
歯ブラシの種類についてもお話ししました。お子さまの月齢や口の大きさに合った歯ブラシを選ぶことが、無理なく歯磨きを続けるための一つのポイントです。
また、フッ素の活用についてもご説明しました。フッ素は歯質を強化し、虫歯予防に有効なため、積極的に使用することをお勧めしています。講演では、月齢や年齢に応じた使用量についても具体的にご説明しました。
食事の内容と間隔にも配慮を
虫歯予防には、歯磨きだけでなく食生活も大きく関わります。虫歯になりやすい食品の傾向や、食事・おやつの時間の間隔についても指導いたしました。だらだらと食べる習慣や、頻繁な間食は、口の中が酸性の状態になる時間を長くし、虫歯のリスクを高めます。規則正しい食事のリズムを意識することが、虫歯予防につながります。
口腔機能発達不全症について
近年、虫歯に罹患しているお子さまの数は以前より減少している一方で、「口腔機能発達不全症」に該当するお子さまは多く見られます。ポカン口(お口が常に開いた状態)や、乳児期の嚥下パターンが残ったままになっているケースなどが、その代表例です。
歯科の役割は、虫歯の治療だけでなく、こうした口腔機能の発達を支えることにも広がってきています。当院でも、口腔機能を整えるためのトレーニングを取り入れております。
口腔外傷への対応について
保育園での生活の中では、転倒などによる口腔外傷が起こることもあります。講演では、保育園でどのように対応すべきか、また実際の治療方法についてもご説明いたしました。
おわりに
保育士の先生方には、お仕事の後にもかかわらず、1時間30分という長い時間、熱心に講演にご参加いただきました。
また、事前に質問をいただいており、その内容は現場ならではの視点に富んだものでした。先生方が日々、さまざまな課題に直面されていることを改めて実感いたしました。
今回の講演を通じて、日々お子さまと接する保育園の職員の方々に、歯磨きの習慣づけから口腔機能の発達まで、幅広い視点で口腔の健康についてお伝えする機会をいただきました。今後も、こうした機会を通じて地域の皆さまの健康づくりに関わっていきたいと考えております。






塙 真樹子